古代のガラスコップ 宙吹きプレス紋ガラスコップ ササン朝ペルシャ(3〜5世紀) 紀元前1世紀頃に吹きガラスの技法が発明されました。 2千年以上も経た現代でもこの技法が使われているほど画期的なガラス容器の量産技術でした。 イスラエルからガラスの塊が付着した土製のパイプなど、 この時代にすでに宙吹き技法が存在して いた証拠も出土しました。このササン朝ペルシャの容器もこの技法が使われています。 この容器は現代のコップと全く同じ形状をしています。この形状の物は9世紀の長安法門寺からも 出土していますので重要な形として世界に拡がっていったのでしょう。このコップは最も古い時代 に属しています。 もう一つ珍しいのは、コップを宙吹きしてまだ軟らかいうちに両面からプレスをして辟邪(魔除け) と思われる顔を造形していることです。しかも分割しにくい5面になっています。 眉毛と目玉と2回にわたり器面を挟んでプレスしています。口は又別のプレスによってこの顔の4 面に付けられています。1面の口無しの物は忘れたのか何か意味があるのでしょうか。 顔と顔の間の模様はさらに別のプレス型で模様が付けられています。1個のコップに約20回のプ レスを施して創られています。色は酸化第ニ鉄を添加して穏やかな黄色になっています。 このコップは成形後の冷却によるひびがありますが補修したものではないようです。持ってみると とても軟らかい暖かみのある手造りの古代の感触が伝わって来ます。ミュージアムピース級の珍品 です。 *宙吹き技法....溶融したガラスを鉄パイプの先端に巻取り息を吹き込んでこの種を膨らませます。 この底部にポンテ竿をあてて保持し吹き竿の方のガラスパイプを切断します。ポンテ竿から切り離 して成形する技法。このガラスコップの底部に見られるのはこのポンテの跡で宙吹きされたことが 判ります。 |
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