宝石の暗号 |
秘められた愛の言葉 |
ジョージアン イギリス1830年頃 直径約2.5cm(バチカンをふくみ高さ約3.3cm) ルビー、エメラルド、ガーネット、アメシスト、 ダイヤ、パール、18金 | 裏面 |
◆.かくされたメッセージのあるジュエリー このペンダントには、なんと!ある秘密がかくされています。 中心にエメラルドを取り巻く天然真珠があり、さらにこの周囲に6つの宝石があります。 |
DIAMOND RUBY | RUBY |
EMERALD GARNET AMETHYST | Rから時計回りに頭文字を読みます。 |
この6つであるメッセージになりますがお判りでしょうか? ルビーからはじまる宝石の頭文字を綴るとREGARD、リガードとなります。 |
RUBY EMERALD GARNET AMETHYST RUBY DIAMOND | ルビー エメラルド ガーネット アメシスト ルビー ダイヤモンド |
リガードとは、好意、敬意、愛情とも解せる微妙な言葉です。 この婉曲な表現のリガードを秘めた宝飾は、18世紀のロマン主義の時代に大変に人気がありました。このような種類の宝飾品は、ポウジィ・ジュエリー(POESYまたはPOSY JEWELRY 詩的な宝飾品、フランス語のPOESIE から由来)と呼ばれました。 当時の上流社会では率直に愛情を表現することは、はしたないこととされたため、わざわざREGARDとジュエリーに入れて相手に贈りました。 |
◆精緻なフィリグリー細工 このペンダントは170年も前の作品です。 1800年代の初頭まで、宝飾品の主体は宝石で主に銀の細工にセットされていました。 ヨーロッパにおける長期間の戦争で宝石や貴金属の供給が細ってその価格も高騰していました。 このため貴金属を最も少なく使った装飾が研究されて金の細線や粒金を使った繊細な細工が完成したのが1810年代頃です。 宝飾品の主流にはじめて金が登場しました。写真のペンダントに見られるように粒金を連ねたような線条や巻貝に見られるように大変精巧な細工が完成しました。 この粒金線条細工はナポレオン一世の頃の金の刺繍をモチーフにして作られたといわれています。 これらの金銀線はフランス語でCANNETILLE、カナティーユと呼ばれていたので、この金細工もカナティーユ細工と呼ばれるようになりました。 一般には英国で呼ばれたFILIGREE、フィリグリ−細工の呼び名のほうが有名です。 このペンダントを吊るす円環一つにも捻り金モールの雰囲気がよく出ています。 このフィリグリ−細工は1820年代にはフランスやイギリスで人気をはくしましたが、材料は節約出来たものの工賃が非常に高価なために1840年頃には姿を消し、この優雅でデリケートなフィリグリ−細工は20年間の短命で終わってしまったために後世に残された作品点数もその数が少ないのです。このペンダントは小さいですが、宝飾細工技術史上からも当時の風習を物語る貴重な、しかも迫力のある作品です。 |
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